私は、強い耳鳴に悩む耳鼻咽喉科医師です。
医師になるのが遅かったのと、耳鳴が起こるのが早かったため、
耳鼻咽喉科を選択する大きな理由が、自分の耳鳴だったという、
少し変わった医師です。
耳鳴はつらい病気です。
こんなに辛い病気は他にないんじゃないか、 と思っていた時もありました。
どんな病気でも、忘れられる時間がありますよね。
不遜な考えかも知れませんが、
目の病気ならば目を閉じれば、その時は逃れられる、
悪性の病気でもふっと忘れられる瞬間がある。
だけど耳鳴は違う。
どんな時でもどんな瞬間でも、ずーっと耳鳴から逃れられない。
だから、耳鳴はある意味、
もっとも辛い病気の中に入るんじゃないか、とも考えていました。
私の耳鳴は重症で、通常の生活の状態では、 どんな時でも耳鳴が聴こえます。
高速道路でトンネルの中を走っているときでも、
飛行場で飛行機の轟音がなっているところでも、
それこそ、すべての生活の場で耳鳴が聴こえます。
私は20代の頃から、耳鳴に悩まされていたわけですから、
30年以上にもなります。
耳鳴に悩む患者さんは、たくさん来院されますが、
たいていは、私よりも軽症です。