若い方、特に小学生や中学生位でも急性の耳鳴りを訴える方がおられます。滲出性中耳炎や急性中耳炎などでは鼓膜の中に液体が溜まり聴力が低下します。これらの聴力低下が、若い方の耳鳴りの原因になります。さらに単なる耳垢でも聞こえが悪くなっていれば耳鳴りの原因になります。これらの耳鳴りは難聴を治すことによって改善するので、まず原因を調べ治療することが重要です。基本的には音響療法の適用にはなりません。

滲出性中耳炎など伝音難聴の耳鳴りの実例(各例は個人ではなく複数例の平均です)

【Fさん(10代)】

Fさんは1週間前から耳鳴が出たと受診されました。急性期は強い不安感に苦しむ方が多く、この方もそうでした。アレルギー性鼻炎が見られ鼓膜が陥凹しています。聴力はABギャップが見られ鼓膜の圧力も下がっています。この場合まず耳管通気を行いました。これは鼻の穴から金属の管を入れて中耳の中に空気を入れる治療法です。うまくいくと耳閉感がいっぺんに解消され、同時に耳鳴が治まることがあります。Fさんの場合も耳管通気でいったんは改善しました。その後は鼻炎薬と耳管通気を継続しています。最近は耳管通気をしない耳鼻咽喉科医師も多くなっています。しかしこのような例では耳管通気によって正確な診断と即効的な治療ができます。本人が実感しながら治るというのは最善の方法であり、耳管通気は必須といえます。

【Mさん(50代)】

Mさんはキーンという耳鳴を主訴に来院されました。耳垢が充満しており除去することにより劇的に改善しました。

【Lさん(60代)】

Lさんも、キーンと言う耳鳴を主訴に受診されました。慢性の中耳炎で聞こえが悪くなっています。慢性中耳炎の治療によって聞こえが改善することによって耳鳴はやや改善しました。