私が耳鼻科医になりたての1990年代の頃、
医者用の教科書で、耳鳴治療にマスカーのことが書いてありました。
「耳鳴を隠すくらいのノイズを聞くと、その後、しばらく耳鳴が小さくなる」
というのです。
家でノイズを出す機械はなかったので、
代わりに電子ピアノでバイオリンの音をかぶせました。
耳鳴の音には、安定した高さがあります。
5番目の「ソ」とか「ソ♯」とか、ピッタリ合わせるのは、少し難しいです。
しかし、ピッタリあうと、不思議不思議、耳鳴がキュイーンと小さくなります。
それは、後抑制というものです。
耳鳴患者さんにとって、朗報ともいうべきものです。